夢渡り人 時代越えし瞬間(とき)

3.正夢

「うっお〜!すっげえ〜!!まさか本当にダイアロスから手紙が来るなんてさ!信じられねえ!!」

「もおっ!仙ちゃんったらさっきからずっとおんなじことばっかり言ってるよ」

ダイアロスから飛んできたと思われる青い鳥を肩に乗せ、仙太郎と並んで家路へと向かって歩く夢。

ふと思い返せば数分前まではまたワケの分からないお遊びにつき合わされるのかと足取りさえも重かったのに、今はなぜか仙太郎同様にいろいろな期待に満ち溢れている自分がここにいるのだ。

なんともいえず不思議な感じである。

(もう少ししたら冬休みに入るし、そしたらいよいよ本格的に『ダイアロス』探しかあ)

「幻の島、ダイアロスかあ〜…ウソみてえな現実かあ」

「なにそれ」

ダイアロスと記された謎の手紙の切れ端を両手に掲げながら、今もまだ信じられないという思いと、幼い頃からの夢が現実のものになるんだという高揚した思いとが重なり合い、仙太郎はいつになく童心に返ったようにはしゃいでいるようだ。

「あ〜早くこの手紙の文面解明して、夢が昔書いた地図持って旅に出てえ〜!」

「はいはい。冬休みがもうすぐだからそれまで我慢しましょうね」

「んなこと言われなくても分かってっけどさ!夢はどうなんだよ?」

「え?」

ふと足をとめ、仙太郎は掲げていた手紙をポケットに慎重に納めながら、夢に向かって呟いた。

「だってずっと気になってたんだろ?ダイアロスのこと」

「ん…まあそうだけど…。でも、本当に行けるかなんてわかんないし」

「でも、こいつはここまで来たんだぜ!そんなに遠くないだろ?」

「…そう…かなあ?」

夢はそう呟きながら、暗くなり始めた空を見上げる。

(私の見た夢…気になるんだ。…大海に投げされたボート…ちりぢりになる2つの人影。それがもし、これから起きることを暗示していたら…)

急に恐怖に目を見開いて夢は俯く。

「おい?どうしたんだよ!何か嫌なことでも思い出したか?」

「あっううん!なんでもない!それより早く帰ろう!今にも雨が降りそうだもん」

「そうだな…とか言ってるうちに降ってきたぜ!急げ!!」

「うん!」

2人が駆け出すと同時にポツポツと降り出した雨が一気に滝のような大雨へと変わる。

「うわっ!マジかよ!!ありえねえ!!」

夢の手を引きながら、空いてる方の手で地図が濡れないようにと、しっかりとポケットの中に押し込んだ仙太郎を見つめながら夢は、自分が今朝見た夢が正夢にならないように強く祈るのであった。

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