夢渡り人 時代越えし瞬間(とき)

2.謎に包まれた島

「あーあ。せっかくの日曜なのになんで私がこんな山奥なんか来なきゃいけないのよ!」

不機嫌そのままに夢はもう何年も足を踏み入れてない小学校裏の山道を登っていく。

「いつもの宝探しの話をするんなら、別にその辺の喫茶店なり公民館なりでいいじゃない。なのに、もお〜!なんで、ここじゃなきゃいけないわけ?!」

目的の今にも崩れそうなプレハブ小屋が見えてきたと同時に、ふと自分の行動に疑問を抱いた夢。

「はあ〜ぁ。それにさ、考えてみたら私関係ないじゃない!!あ〜なんでここまで来ちゃったんだろ。やっぱり帰ろっかな」

踵を返し、元来た道へと引き返しはじめる夢。

「あ〜あ。なんでかなぁ。私ってば、ちっちゃい頃からそうなのよね。関係ない。関係ない!って言いながら、仙ちゃんのペースに振り回されてばっかりで…まあ、別に宝探しとかそういうの嫌いじゃないんだけどさ…って。あれ?」

ぐだぐだと独り言をぼやきながら、ふと違和感に気づき、足を止めれば目の前は仙太郎たちが待つ秘密基地と言われてるプレハブ小屋の前。

「おっかしいなあ。私、たしかに山道下って帰ってたはず…」

首をかしげる夢。

「ん〜」

不思議そうに辺りを見回しているとガタガタと大きな音を立てて、目の前の割れた窓が開き、仙太郎が顔を覗かせた。

「あーっ!遅いぞ!夢!!もうみんな来て待ってるんだぞ!早く来いよ!」

「え?あ…うん」

夢はついいつもの調子で頷いてしまい、首を縦に振った後になって、「あーっ」と呻いた。

(今日こそは付き合わないって決めたばかりなのに〜)

頷いてしまった以上、仕方ない。

夢は渋々、いつも皆が集まる部屋へと入っていくのであった。

※ ※ ※

「まさかとは思うが、やはりコイツは仙太郎の考えてるように異世界から来たとでも?」

「まあ俺の知る限りではこんな奴どの鳥類図鑑調べても見たことはないしな。とりあえずはっきりと言えることといえば、地図みたいなもん括り付けられてたわけだし誰かのペットだろうな。伝書鳩みたいなことでもしてた途中で誰かの悪戯に遭い落とされた…か」

「だとしたら、ひどい話ですよねぇ。ね?仙太郎さん」

「ん?ああ」

いつものことながら、彼ら4人が集まると聞こえてくるのは、通常では考えられないような不思議な会話。

現実ではありえないようなミイラがどうとかお化けがどうとか、宝があるとかないとか…

彼らは平気でそういう話を夢中で交わす。

今日もダイアロスに関係する話があるとかなんとかって言ってたけど、きっとまたネットで調べた不可思議な話をごちゃまぜにしたようなことを語られて終わりだろう。

そう思いながら、夢は渋々といった感じで小屋の扉に手をかけ、ゆっくりと手前に引いた。

「今度はいったいどんなダンジョンでも見つけたんですかねえ?」

軽い挨拶代わりにいつもの皮肉を口にしながら、夢が目の前の扉を開けたときだった。

「キャッ?!なっなに??」

ぶわっと眩い光を放って青い物体が夢めがけて飛びかかってきた。

「あっと!夢!大丈夫か?!」

「え?あっうん…びっくりはしたけど、平気…だよ」

スッと何かが自分の肩に乗った。

ふんわりとちょっぴりくすぐったい羽毛の感触に夢は肩越しを見つめる。

「うわ〜何これ?鳥??見たことない。どうしたの?誰が連れてきたの?」

「へっへーん!俺だよ!俺!こいつなんだ。おまえに見せたいって言ったヤツの1つ」

「ふぅん…って!まさかとは思うけど、どっかの鳩とかに色塗ったとかじゃないわよね!」

「んなことするわけねーだろ!それよか、夢。おまえ、そいつに見覚えとかないか?」

「え?この子?」

夢が指差すと、その青い鳥はチョンッと夢が出した手の上に移動し、まるで夢にしっかりとその姿を見てほしいとばかりに彼女の視界を捉えてきた。

「…青…鳥…」

小さい頃に見た夢の記憶を辿っていく。

しかし、自分が記憶する鳥の中に青い色をした鳥はいなかった。

「思い当たらない」

「そっか…」

残念そうに肩を落とす仙太郎。

同時に今度は「じゃあ」と手にしていた紙切れを広げてみせる。

「これは?おまえのいうダイアロスとかじゃないか?」

「え?」

仙太郎から紙を受け取り、夢はまじまじとそのボロボロの紙を見つめる。

「ん〜…わからない。でも、それ以前にこの紙に書いてある文字……」

「そうなんだよ!おまえがさ、ちっちゃい頃に書いた地図と同じ文字が1つあるんだよ!」

「うん…分かる。分かるよ!仙ちゃん!この文字って」

「ああ。こう書いてあるよな」

興奮に震える手をなんとか抑えながら、夢はやはり同じように興奮を隠し切れない仙太郎と見つめあって同時に、同じ単語を発した。

「「”ダイアロス”って」」

next