夢渡り人
時代越えし瞬間(とき)
11.イルミナの地図
「夢を!夢を知ってるんですか!夢はっ彼女は今どこにいるんですか!」
ギルバードが夢を知っているという情報を聞きつけ、仙太郎は我を失い、必死になってギルバードに喰らいつき、彼の胸倉をガッと掴むと物凄い剣幕で問いただしていく。
それを見て、リジュは慌てて彼の両手をギルバードから引き離し、怒声を浴びせた。
「こらっ!仙太郎!!落ち着きなよ!!アンタが今ここで取り乱したところでユメが出てくるわけじゃなし!まずはギルの話を聞こうじゃないか!」
「ふうー…さすがに今のは驚いたぞ。センタロウ…だったな。ユメという娘のことだが、私に聞くよりかはこの先にあるイーノス長老の家で、彼に直接聞いたほうがいいだろう。私たちはユメをそこへ送ってから後は会っていないのでな」
「私たち?…ギル、それどういうこと?」
落ち着きを取り戻してきた仙太郎をそっと離しながら、リジュはギルバードを見上げ首を傾げる。
ギルバードは、ユメを助けた経緯を話しながら、急ぎの用でもあるのだろう。リュックからホーリーレコードを1つ選び取っていく。
「ういかと彼女を見つけた。彼女はユグ海岸で見つけたんだ。いや、ソレス?まあ、いい。その後はイーノスに託したから私は知らないんだ。たぶん、まだそこにいるんじゃないかな?かなり疲れきっていたようだったし。いちおう妹者がGHPを飲ませたが」
--では。
そう言ってギルバードはリジュと仙太郎の目の前でテレポートしてアッというまに消えていった。
「うわっ!また消えた!」
「もう、いい加減慣れなさいよね?テレポートしただけよ」
「あーテレポートって漫画で読んだことあるけど、瞬間移動ってやつですよね?」
「そうよ。ちなみに私が使った魔法はさらに高レベルになるアルターってヤツ。普通はこうやって指定の場所にしかないアルターという遺跡の前で、このノアピースを所持してテレポートするんだけど、アタシらみたいに特殊なスキルを上げた人間だけ、アルターまでいかなくても特定の場所へ飛べたり、そのアルターを召喚して、仲間を贈ってあげたりできるようになるのよ」
再び、kyoと一緒にイーノスの元へと歩き出しながら、リジュはこの世界では当たり前のように使われている魔法というものについて話し始める。
「それぞれ、得意不得意があるのよね。アタシはギルたちみたいに手先が器用ってわけじゃないのと、聖職者の道を選んだってこともあって、アルケィナに所属してラルファク神の下、こうして困ってる人の手助けしたりしてる」
「ちなみに俺はこの先にあるアルビーズの森にあるギルド【フォレール】の所属な。自然と調和し、争いを好まない生活を望むものが主に集まってる」
「他にもいくつかギルドがあるんだけど、それはまあ今は必要ないわよね。あなたにとって今必要なのは…」
「夢の安否です」
「さっ着いたわよ」
アルターを抜け、山道を下り、入り組んだ洞窟を抜けた先。
気づけば、仙太郎は1軒の家の前に辿り着いていた。
「こんにちは。シルヴァ。イーノス…って!何?!あれ!」
家の前の木の下に、アルター前で見たのと同じ、サル顔が立っていた。
リジュは彼らを【モラ族】と説明してくれたが、そのモラ族の1人、シルヴァに声を掛けようと、ふと視線をイーノスの家へと向けたときだった。
大きく半壊した家を親方衆たちが何人か集まって、修理をする姿が見えるではないか。
「ちょっ!シルヴァ!一体何があったのよ!イーノスは?ティキイは無事なの?」
「大丈夫じゃ。ワシらは無事じゃ」
シルヴァが口を開くよりも先に、壊れかけたドアの間から2人が姿を見せる。
イーノスは少し疲労してるらしく、ティキイに肩を貸してもらいながら、ゆっくりと橋を下って仙太郎たちの前へと辿り着いた。
「ほお〜。まさか、こんなにも早く、もう1人の人間がここへ来るとはな。お主がユメの探していた--」
「仙太郎です!それで、夢は!夢は今、どこに?!」
仙太郎はイーノスの口から、夢という名を聞いて、ギルバードの情報に間違いはないと判断したらしく、再び我を忘れ、彼らを押しのけ、橋を登っていこうとする。
しかし、すぐにリジュとkyoに両脇を固められ、そのままイーノスの前へと押し戻されてしまった。
「落ち着きなさいよ!まだイーノスの話が終わってないでしょ!」
「でもっ!夢がここにいるって!あの人が!だとしたらあの半壊した家の--」
「そこにはおらん」
「「え?」」
イーノスは左右に首を振り、小さく息を吐くとここまでの経緯を簡潔に説明してみせた。
「…じゃあ、夢は今…」
「そうじゃ。隠れ里ネヤへと飛ばした。たぶん、まだそこにおるじゃろう。先ほど、ドーンからワシに連絡があってな。ユメが2人のエルモニーと一緒に、ネヤを探索しておると聞かされたところじゃしな」
「エルモニーって…」
「そう。アンタがアルター前まで見た背の小さい腕のぶっとい子たち」
「害とかないのか?」
「大丈夫よ。まっ好奇心が旺盛だから、ユメのこと珍しがって構ってきたってとこだろうけど。危害は加えないわ」
仙太郎が一瞬、不安げに眉根を寄せたのを見て、リジュは慌ててフォローする。
「そっか。じゃあ、急いでそのネヤってとこ行かないと!」
「ちょっ!だからっ!待ちなさいっていってるでしょおが!」
「ぐはっ!」
--ガツンッ!
リジュが勢い余って仙太郎を投げ飛ばしてしまった拍子に、彼の体はシルヴァが立っていた木の幹におもいっきり頭を打ちつけられてしまう。
「あっ!ごめん!大丈夫?仙太郎」
「あっまあ…なんとか」
後頭部をさすりながら、仙太郎は投げ飛ばされた勢いで、ポケットから飛び出してしまったノアピースの欠片と地図を慌てて拾い上げる。
「むむっ?!それは…イルミナの地図ではないのか?」
「え?イルミナの…地図?」
next
|