ミニフロ〜その9

言うまでもねえ!二拓♀です…

そしていちおう本日更新されてる3部作をお読みいただくと、さらにこれ楽しめます。

『拓也のヤキモチ』から『泉の告白』『変わらないそのコトバ』まで。

輝二さん視点です。

ついでにいうと、長いです…

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赤いエンゲージリングをキミの髪に捧ぐ

 

細い光がカーテンの隙間から差し込んできたのを合図に、俺は深い眠りから目を覚ます。

ゆっくりと目を開けば、眩しい光の筋が、目の前に映る白い肌を明るく照らしていくのが、ぼんやりと視界に焼きついて見えていく。

「…白い…肌…色??」

俺はシーツでもカバーでもない色におもわず、目を見開き、目の前の現実におもわず声をあげそうになり、慌てて押し殺した。

「た…拓也?」

俺のすぐ隣で安らかな寝息を立てて寝ているのは、紛れもない拓也。

「ん…ん〜?うにぃ…なあに?母さん??」

彼女は俺の声に目が覚めたのだろうか?

まるで自分の部屋のベッドで目覚めたかのような感覚で、寝ぼけ眼を擦りながら、上半身を起こす。

ファサリと、彼女の裸体を覆っていた白い布が、滑らかな肢体の上を滑り落ちていく。

拓也のそのあられもない姿こそ、昨晩俺たちの間で何かがあったことを記す何よりもの証拠。

拓也はぼんやりとした目で俺を見つめ、しばらく状況を理解してないかのような顔で、座り込んでいたがやがて、現状を理解し、次の瞬間。

「うわっ…」

叫びそうになったのを慌てて、両手で塞ぐ。

「むぐうぅっ!!」

勢い余って拓也を再び押し倒してしまったわけだが、拓也は昨日とは打って変わっての大暴れで必死に俺の口を塞ぐ手を退けようとして、バタバタと手足を激しく振り回し続ける。

「落ち着け!バカ!!親が起きる!!拓也!!」

完全にパニックになっている彼女を前に、俺は本能的にその体を抱きしめていた。

そして優しく拓也の震える唇に自らの唇を重ね合わせれば、それをきっかけに、昨夜のことを思い出したのか、一瞬にして拓也はおとなしくなった。

「…悪かったな。驚いたか?」

「うん…まあ。でも、もう大丈夫だ…から」

顔を真っ赤にしながらも、今度は自ら俺の首に手を回し、自分から二度目のキスをせがんできた。

しかし、俺は敢えてそれを拒むかのように、拓也の唇にそっと指をあて動きを止める。

「なに?」

「忘れてるようだから、言っとく。…今日は学校行く日だぞ」

「……って!マジかよ!!」

「だから、続きはまた今度な」

「ったりめえだろ!遅刻しちまうぞ!バカ!」

「だから、静かにしろ。それにバカはそっちだろ。でも、おまえを帰れなくしちまったのは俺のせいだし、やっぱりバカって言われるのは俺の方だったか?」

「…いや、おまえは悪くない…と思う。俺が…いけないんだ。そのまま、寝ちまったから」

床に脱ぎ捨てたままの制服を拾い上げながら、拓也はバツが悪そうに俺を見上げる。

「おまえをそこまでにさせたのは俺のせいだ。手加減しろって言われてたのにな」

「いいよ。そのことは…過ぎたことだし。それに…すんげぇ痛かったけど、イヤじゃなかった。むしろ…嬉しかったぞ。おまえにここまで愛されたこと。すごく幸せだ。俺」

「拓也…」

「輝二…」

そっと拓也が俺に歩み寄り、腰に手を回し頬を摺り寄せ「また…付き合ってやってもいいぞ」と、潤む瞳で見上げてくれば、つい時間も忘れ拓也を求めてしまう魔力。

「んっ…」

結んだばかりの胸リボンに手をかけ、首筋に優しくキスをすれば、拓也が吐息交じりの甘い声をあげて、軽く肩をすくめ、俺の腰に回したままの手に力がこめられる。

「あぅ…こ…じ…ダメッ…がっこ…」

拓也が、顔を真っ赤にしたまま、そっと俺の手へと自分の手を重ね、これ以上はまずいとばかりに、静止すればいいタイミングで階下から母さんの呼ぶ声が届いた。

「輝二くーん!起きた〜?そろそろ支度しないと遅刻しちゃうわよ〜!」

「「?!」」

俺と拓也は反射的に互いに距離を取り合って離れる。

「あっ!今すぐ降りるから!」

とりあえず、返事だけして、そこでようやくまともな思考にいきつく。

「そういや、おまえ、ここにいること秘密なんだよな…これから、どうするか考えないとな」

「さすがに堂々と玄関からなんて出られないもんな」

運が良いと言うべきか、拓也の鞄も靴も俺の部屋に一緒に持ってきてあったおかげで、両親はまさか拓也がウチに泊まっていたことなんて知るわけもない。

故に尚のこと、存在を知られずに外へ出してやらないといけない状況でもあるわけで。

「あ〜とりあえず、おまえだけでも飯食ってこいよ。いつまでも降りないとそれこそ、部屋覗かれっちまうだろ?俺、それまでに何とか下へ降りる方法考えてみる。…っつーか、その前にウチに電話しないとまずいか。無断外泊だもんな〜」

俺が部屋を出ると同時に携帯を開く拓也の姿が、閉まる扉の間から見えた。

あの調子じゃ、かなり怒られそうな空気だったな。

後で、好きなもん奢ってやるか。

とりあえず、何事もなかったかのように振舞って、軽く食事をとると、すぐに鞄を取りにと口実をつけて、二階の自室へと戻っていく。

「…あれ?拓也??」

「おーい。こっちだ!」

窓際から声が聞こえる。

勉強机の先から窓の外を覗けば、縁に手をかけたまま、宙ぶらりんになっている拓也がいるではないか。

「おまっ!何やって」

「いいから!早く下へ回ってこいっての!そのまま降りようかと思ったんだけど、ちょっと高すぎ!足挫きそうだから、捕まえて!早くしろ!バカ!!」

「わっ分かった。もう少しがんばれ」

「う…うん」

相変わらず、ろくに考えずに行動に移す奴だ。

そう呆れながら、鞄を手に取るとすぐに階下へ降り、出かける振りをして一旦外へ出るとそのまま、塀をよじ登り、裏手で何とかぶらさがったまま耐えてる拓也の下へと駆けつける。

「いいぞ。手を離せ」

「よしっ!いくぞ!」

「ああ、来い!拓也」

拓也が軽く体を振ってから、俺めがけて手を離し、飛び降りてきたところを何とか抱きとめる。

「う〜手が痺れてる」

「痺れてるとこ悪いが、今度は塀をよじ登ってもらうぞ」

「うへ〜。まっ仕方ねえか。補助頼むわ」

「分かった」

2人で何とか無事に親にバレずに、家からの脱出に成功するとそのまま駅へと駆けて行く。

道すがら、俺は拓也に気になっていたことを聞いてみる。

「そういえば、ご両親どうだった?」

「あっいや、それがさ…泉からのメールが来てて、なんかアイツがうまく言ってくれたみたいだった。とりあえず、泉のメール通りに調子合わせて、母さんには「連絡しなくてごめん」っていっといた。まあ、怒られたけどさ」

拓也は切符を買いながら、苦笑する。

「ただ、輝二んとこにいたってことがバレなかったのは幸いだった。ホント、あんな辛い思いさせちゃったのに、泉には頭あがんねえよ」

ちょうど到着したばかりの電車に乗りながら、今度は昨晩の泉と交わした会話のこと、俺に全部話してくれた。

泉が実はずっと前から拓也のことを好きだったなんて、知らなかった。

それなのに、アイツは俺が拓也のことでいろいろと話せば黙って聞いてアドバイスまでしてくれてたんだよな。

拓也だけじゃない。俺だって頭、あがんないよ。泉にはさ。

※ ※ ※

「お腹…空いた」

学校へ向かう道を歩きながら、拓也がへろへろと壁にもたれかかる。

「なんか食いたい!確かその辺にコンビニあったよな?なんか買ってくれよ〜」

もう動けないと、文句を言いながら、覚えたての甘え声で「お願い」だ。

仕方なく、サンドウィッチとジュース、ついでに我侭なお姫様のご要望でお菓子を2袋買っていってやることにした。

いつもの裏山で、2人並んで腰掛け、拓也は朝飯。俺は拓也のぐしゃぐしゃなままの髪を漉いていく。

思えばここまでの関係になるのに、長い年月が過ぎてたんだなと、拓也のずいぶんと長く伸びた髪を漉きながら思う。

「そういえば、おまえここ1週間、髪型変えてただろ?ヘアピンどうしたんだ?」

サイドを軽く後ろで1つに赤いゴムで適当に束ねたままになってた髪型を梳きながら俺が聞くと、拓也は「しまってある」とだけ言った。

「そうか」

「だって…あの時は輝二に本気で愛想つかされたかと思ったから…だから、おまえから貰ったもんつける気しなかったんだ。でも、またつけっから」

「あっ…ちょっと待て。今の髪型にちょうどいいもの。買ってたの忘れてた」

「ん?」

ふと昨日、髪型を変えてしまった拓也のことを思い、もし許してもらえるならと代わりの髪飾りを買ってあったことを思い出し、俺は鞄の奥にしまったままだった小さな包みを取り出した。

「…これ、おまえに似合うかと思って買ってあったんだ」

「…シュシュ…か?泉がたしかこれのことそう呼んでた」

真紅一色のシンプルな布地のシュシュを手のひらに乗せながら、拓也は俺につけてくれとせがんできた。

「…髪型、今のにしてからな。なんか少し大人っぽくなったって言われてさ。だから、これもいいかな?なんて思ってた。でもさ、そしたらヘアピンいらなくなるじゃん。だから、どうしよっかな?って思ってたんだ。そしたら、おまえがこんないいもんくれるから…なんか、心が繋がってるみたいだよな?俺たち」

シュシュをつけてやると、拓也は嬉しそうに俺へと振り返り笑顔を見せてくれる。

そして、1週間ぶりのキスを…頬でなく唇へとしてくれた。

「今日でひとまず卒業式まで学校は終わりになっちまうけど、後1回はこれができるぞ。その後は…離れ離れだけどな」

「拓也…」

「でも、心配すんな!もう…大丈夫だ。おまえとは本当の意味で1つになれたし、もう不安にはならない。ただ…できたら、もっと一緒の時間が欲しかった」

寂しい笑顔を俺に向けながら、拓也はスカートの土埃を落としながら、ゆっくりと立ち上がるとゴミ袋を片手に裏山を下りだす。

俺は、その後ろ姿を見つめながら、おもわず気の早いプロポーズにも似た言葉を呟いていた。

「なあ、もし良かったら俺と一緒に暮らさないか?」

「え?」

拓也が立ち止まり、俺を振り返る。

「俺、4月から一人暮らしをはじめるんだ。部屋ももう決めてある。それで…少し気が早いかもしれないが、拓也さえ良かったら、一緒に暮らさないか?そこで」

「いいの…か?」

「ああ。俺はかまわない。とはいえ、そうなると両親に拓也のことちゃんと話さないといけなくなってくるけどな」

「俺も…そうだな。父さんと母さんに話さないとな。でも、許可もらえっかな?っていうか、貰うぞ!絶対に!」

「拓也?」

タッと俺の下へと駆け戻ってくると拓也はギュッと俺にしがみつき、俺の耳元に小さな声で囁きかける。

「もうこの際だから、結婚前提で付き合ってるから、許してくれ!って言っちゃおうぜ」

「それもいいかもな」

「なんならさ、このシュシュをおまえから俺への婚約指輪ってことにしてさ」

「それはちょっと無理があるだろ?」

「だってリングには変わらないじゃん」

「エンゲージリングはそのうちちゃんと贈ってやるよ」

「どうせなら、ペアリングとかがいい」

「結婚指輪まで待てないのか?」

「3年もあるんだぞ!約束まで。その前に輝二に変な虫がつかないようにつけてもらうんだ」

「だったら、おまえにも同じ理由でな。後で見てくるか?あまり高いの無理だけどさ」

「2人でお金出し合えば、イミテーションリングくらいなら買えるんじゃね?」

「いい考えだ」

「だろ?」

あの日、はじめて思いを伝えあって共に肩を並べて、歩き出した時と同じように、俺たちは寄り添い、しっかりと繋いだ手をそのままに、2人で結んだ小さな夢を語り合いながら、裏山を下りていく。

 

これからもずっと変わらずに…

あの時から…これから先も---。

俺の隣には拓也…おまえがいて。

 

終わり

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長すぎる〜!

たぶん、輝二さんの部屋からはじまって無断外泊の件が原因だ!

そうじゃなきゃ、もっと早…いや、ちょっとじゃれすぎたんだな。

ちょっと輝二さんを甘やかしすぎたぜぃ!

でも、ベタベタ拓ちゃん書けたからいいや。

後日、同居編でのペアリング話とかウエディングへの夢話とかが、ミニフロページにサイト直アップされます。
これのログと一緒に。
いつになるかは未定です…。