ミニフロ〜その8

友拓♀です。チュウします。可愛い感じの内容だけど、友樹が輝一さんに負けない策士かも?

友樹に甘い拓也お姉ちゃんが愉快。

視点は拓也お姉ちゃん側です。

 

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光は屈折 氷は甘く?

 

「ごめんね。拓也お姉ちゃん。せっかくの日曜なのに、僕につき合わせちゃって」

「ん?いいって。いいって!で…このお姫様の役を俺がやればいいんだろ?」

「うん!それでね。今日は実際に演技もしながら通しでやりたいんだ」

「俺にできっかなあ?」

「大丈夫だよ!このお姫様なら拓也お姉ちゃん素でできるから、じゃあ早速だけどここからお願いね」

「ああ。ここな」

可愛い笑顔を浮かべ、友樹は俺に1週間後にあるという演劇祭の台本を俺に手渡しながら、自分は空で台詞を言えるんだろう。

ベッドの上に飛び乗ると、軽く深呼吸をしてから、自分の台詞の冒頭を完璧に読み上げて見せた。

それに合わせて、俺も友樹の相手役であるお姫様になりきって演技をする。

「姫!やっと見つけた。私はずっと貴女を探していたんですよ。さあ、冒険の旅はもう終わりです。私と共に帰りましょう」

「帰りたければおまえだけで帰るがいい。私は自分の目的を果たすまでは城には帰らぬ!それに…絶望の魔女のいる地はすぐそこなんだ!この国の民たちの苦しみをこの目で見てしまった以上、私は…」

「では、私も共に参りましょう。そしてこの戦いが終わった暁には共に帰ってください。この私と…」

「おまえ…。なんでそこまでして私を」

「私は…私はずっと貴女のことをお慕いいたしておりました。私にとって貴女はこの世界で最も失いたくない存在なのです。この先、私は命に代えても貴女をお守りしていきます!貴女を愛しているから」

「はうっ…/////」

友樹の演技があまりにうますぎて、本気でコクられてる気分になり、俺はおもわず次の姫の台詞を読むことを忘れ、顔を真っ赤にして口ごもってしまった。

「たっ拓也お姉ちゃん?どうしたの?顔、真っ赤だよ」

「あっいや。大丈夫だ。ちょっとな」

「そお?…じゃあ、次行っていい?この後はほとんど戦いがメインだから、ここだと狭いし飛ばすね」

「あっうん」

「後はここ…姫と騎士の別れのシーン。姫のピンチを騎士が自らの命と引き換えに姫を助けるシーン」

「あっああ。ここだな」

俺は友樹に言われたページをぱらぱらと捲り、目的のページを見つけ出す。

そして軽く台詞の流れに目を通し…え?

俺は固まった。

せっかく冷めてきた頬の熱がまた上昇するのを感じる。

「あっあのさ、友樹?」

「ん?何?拓也お姉ちゃん」

「この…キッキスシーンっての本当におまえ、やるのか?」

「うん…まあ。そうだね。いちおうまだ実際にはやってないけど、本番ではリアリティが欲しいって言われてるからさ」

「そっか。大変だな」

「うん。それでね。今日、僕が拓也お姉ちゃんに演技の相手役してって頼んだ本当の理由なんだけど」

「ん?」

いきなり友樹が俺に抱きついてきて、俺はバランスを崩して友樹と一緒にベッドの上に仰向けに寝転んでしまう。

「僕の…ファーストキスの相手になって!」

「え?ええええええっ?!////」

友樹に押し倒された体勢のまま、言われたキスの相手っておい。なんだよ、それ。

俺は台本を握り締めた手をそのままに、完全に思考回路が混乱していた。

この状況。

輝二だったらまずぶん殴る。という選択肢がでるし、輝一だったらたぶん突き飛ばすくらいはしたかもな。

でも、友樹…友樹はどうしよう?

友樹は弟のようなもんで、最近はさすがになかったけど、俺が女になってからもしばらくは友樹に無邪気に抱きつかれてはいた。

俺も友樹ならと別に拒絶もせず、抱きとめてやっていたけど、さすがにキスは…と考えてしまう。

「やっぱり…ダメ?」

「え?ん〜…なんていうか、どうして俺がいいんだ?」

ハッキリと断る勇気も持てず、俺は曖昧な言葉を口にしながら、逃げ道を探すために理由を聞いてみる。

友樹は俺の上に乗っかったまま、離れることもなく、年下ならではの甘え声で一言。

「拓也お姉ちゃんが『好き』じゃダメ?」

ボンッと顔から火が吹くような感じを覚えた。

「僕…演技でキスするにしても、やっぱりそれがファーストキスになるのは嫌なんだよ。だから…せめて、その前に好きな人にしてもらえたらって」

「う…そう来られても」

「やっぱり輝二さんが怖い?僕とキスしたこと知られて、輝二さんに怒られるの怖い?」

「んなわけねえだろ!って言うか、友樹とキスしたくらいでイラつくようなら、ぶん殴ってやる!心が小さいんだよ!ってな」

「じゃあ、いい?一回だけでいいんだし」

「……う、まあ…だな」

なんか輝二を引き合いにだされ、つい売り言葉に買い言葉状態になって、曲がりなりにも承諾した形になってないか??

「じゃあ…目、とじて。すぐに済むから」

「う…分かった」

なんか今の友樹、さっきと違って男に見える。

 

知らぬ間に俺の胸は激しく動悸し、まるではじめて輝二とキスを交わしたあの時みたいな気分になっていく。

体中に力が入って固くなりながら、ギュッと目をとじて、キスの瞬間を待つ。

あの時と同じ感触がキスをされ慣れた唇へと伝わる。

ほんの一瞬の出来事。

「ありがとね。拓也お姉ちゃん。やっぱり、拓也お姉ちゃんは優しいね」

「これで満足か?」

友樹がようやく俺から離れてくれ、内心ホッとしながら、上半身を起こしながら俺は友樹を見つめる。

満面の笑みで大きく頷く友樹は、いつもの年下の可愛い弟の友樹の顔に戻っていて、それを見たら俺の緊張もほぐれたみたいだ。

その後も、友樹の稽古に付き合い、たまに休憩をいれては雑談をしながら、時は流れ---。

「今日は本当にありがとう」

「礼には及ばないって!じゃあな」

「あっ待って!」

「ん?…って?!おまっ!!また?」

玄関を出ようとしたときだった。

不意に友樹が飛び出してきたかと思ったら、ほっぺに軽く友樹の唇が触れてきて、俺はびっくりしておもいっきり扉に背中をぶつけてしまっていた。

そのまま、逃げるようにして外へ出るとき、友樹が大きな声で恥ずかしげもなく、素直な気持ちで俺に別れの代わりに「大好きだよ。拓也お姉ちゃん」と叫ぶのが聞こえた。

そして、そのまま俺の後を追いかけて、庭先で今度は耳元にそっと囁かれる。

(たとえ、拓也お姉ちゃんが他の人のものでも、僕はずっと貴女を守る騎士でありたいから)

「友樹…おまえ」

「もう守られてばかりの僕じゃないからね。もし、輝二さんと別れるようなことがあったら、その時は僕が拓也お姉ちゃんを幸せにしてあげるからね」

弟のものでもない、男としての友樹の顔をその日のうちに2度見せられた俺。

可愛い笑顔の中に隠された男として成長しはじめた友樹の頼もしい言葉に、俺はちょっとだけ胸がトクンと高鳴るのを感じ、動揺した。

※ ※ ※

家に帰り、信也に今日のことを話す。(とはいえ、キスしたことは内緒にして)

「んで、友樹の奴、姫役の子とキスシーンするんだってな。でも、さあ本当にするのかな?いちおう、学校の演劇祭だろ?問題なくないか?」

「はあ?何勘違いしてんだ?たしかにキスシーンは組まれてるけど、フリだよ。フリ!本当にするわけないじゃん。姉ちゃん、バカじゃないの?」

「へ?マジかよ!」

「ったりめえじゃん!それとも、まさか…友樹にキスの相手してくれとか言われて、まんまと騙されてしてやったとか?…輝二に言ってやろ!」

「バッ!んなわけねえだろ!」

「でも、顔真っ赤だぞ〜!どうせ、したんだろ!輝二としょっちゅうキスしてるくせに、それじゃ足りずに友樹にまでかよ。姉ちゃんどんだけキス魔だよ」

「だっだから!してねえって!っつーか!俺は輝二としょっちゅうなんてしてねえ!!」

「まあ、真実は後で輝二にメールなり電話なりで聞くけどなあ」

「待て!信也!!殴ってやる!!」

まさかの友樹に1枚食わされたとはな。

友樹と信也は同級だから、明日辺り嫌でも真実があからさまになっちまうんだろうなあ。

そしたら、信也から輝二に告げ口されて、また輝二に何かしらされそうな予感。

俺は信也をとっ捕まえながら、そんな未来予想図を立てて、ドッとストレスが溜まるのを感じるのであった。

 

終わり

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ちょっと長めか?

芝居の中の戦うお姫様設定は、いちおう「brave princess」という歌詞をベースに作らせてもらった台詞でございます。

友樹が弟の立ち位置から、拓也の彼氏候補の立ち位置に成り代わったことを宣言してるような友拓♀でしたw

友樹に甘い、拓也お姉ちゃんが好きだw

でも、甘やかしで許してくれるのはチュウまでだよね?さすがに…