| ミニフロ〜その6 拓也さん視点でお送りします。 ちなみにここでの泉は輝一と付き合ってること前提で書いてあります。 朝の日課
輝二が毎朝、俺と一緒の電車待ちをわざわざするようになってから、今まで遅刻寸前常習犯だった俺もさすがに早起きする習慣が身についてきたとこ。 やっぱり輝二に1本前の電車の時間からずっとホームに立たれてる光景思うとな。 嫌でも起きられるようになりますって… 「最近、遅刻なくなったよな、おまえ」 「まあな。ある意味、輝二と一緒に登校するようになったおかげかな?」 「じゃあ、なんかお礼くれてもいいんじゃないか?」 「なんでそうなるんだよ!」 「せっかく遅刻癖がなおって、朝飯もしっかりとってこれるようになったんだろ?髪は相変わらず爆発してるみたいだけどな」 「これは…いちおう梳かしてるんだぜ」 もう近道する必要なんてなくなったんだけど、やっぱり輝二と並んで歩いている姿を他の奴らに見られるのも恥ずかしくて、俺たちは今でも裏道ルートを通って登校していたりする。 そして学校が見える辺りまで来ると、今では決まって輝二に髪の毛を漉いてもらうのが日課になっていた。 「終わったぞ」 「ありがとな」 「それだけか?」 「…ったりめーだろ!!最初のアレは…おまえの不意打ちを喰らって、したんじゃなくてされたんだし。俺からそんな真似するわけねーだろ!代わりに後でジュース奢ってやるから!な?行こうぜ」 「少しは恋人気分というのを味わわせてほしいもんだよな」 「だから、俺たちいつから付き合い始めたんだよ?俺は認めねえからな!少なくとも、輝二が他の女子に色目使ってる間はな!」 軽く舌を突き出して、あっかんべーをすると俺はするりと輝二の腕から抜け出して先に裏門へと駆けて行く。 輝二は俺の言葉に身に覚えがないといわんばかりに反論の声を上げ、俺を追いかけてきた。 「いつ、俺が他の女子にそんなことしたんだ!証拠はどこなんだよ!」 「そんな過去のこといちいち覚えてられっかよ!思い出しただけで頭にくるようなもんなんて、すぐに記憶消去しちまうからな!」 文句を言い合いながら、昇降口を抜け、階段を登り、教室の前へ。 「だったら、勝手な思い込みで焼きもちなんて妬くな!俺はな、いつだっておま…」 輝二が真剣な顔で俺の腕を引き、抱き寄せようとしたかどうかは分からなかったけど、何か言いたかったのは確かなようだ。 「拓ちゃ〜ん!おはよっ!!」 「うわっ!ゆっ夢!なんだよ!おまえは!!いつも!!」 教室内からドーンと俺の腰にタックルを仕掛けてきた夢の妨害により、輝二の行動はおろか台詞すら棒に振られたようだ。 「雅…後で覚えとけよ」 物凄い殺気だった目で夢を睨みつけ、輝二は言いたかった言葉を呑みこみ、おとなしく自分の席へと歩いていった。 まあ、どちらにしても今日から俺、輝二の隣なんだし、話だけなら後でもゆっくり聞けるんだけどな。 よっぽど、今言いたかったんだろうな。あの様子じゃ… おもわず呆れ顔で腰にしがみついたまま、一緒に教室へと入ってきた夢を見下ろす。 「おまえ、後で輝二に殺されっぞ」 「ん〜?なんでぇ?輝二くんに私なんかしたかなあ?」 すげえ… こいつ、輝二の殺気に全然気づいてねえ。 俺と夢が引っついたまま、輝二の隣へと歩いてくると、輝二がいかにも不満そうな顔で夢を睨んでいる。 「さっさと離れろ、雅。拓也が座れないだろ」 「なあに?輝二くん。焼きもち〜?輝二くんは拓ちゃんに抱きつくと殴られるって聞いてたけど、ホント?私、全然平気だよ〜」 「…み〜や〜び〜…」 イラつきも頂点に達した頃か? 俺が夢を引き離そうと腰に絡まる腕に手をかけたときである。 「よっ!生徒諸君!!今日も色恋沙汰は泥沼状態で楽しそうだな?とくに源と神原!」 棗先生が、窓からロープを垂らしていきなり飛び込んできた。 「あっ先生。おはようございます」 おい…こんな変なところから入ってくる先生なんて見たことねえぞ。 以前に動じないで挨拶すんな!夢…と心の中でツッコミしたくなった。 「ああ。おはよう雅。それとどうした?源。朝から神原と夫婦喧嘩か?よくないぞ〜」 「だから!なんで俺たちをくっつけたがるんだよ!あんたは!!」 「しかも、昨日は付き合ってる発言だったのに、今日は夫婦に昇格してるしな」 「輝二も冷静に分析してんなっての!!バカか!!」 「誰がバカだ。俺は別に否定しようのない事実だから何も言わないだけだ」 「まあまあ、2人とも落ち着け。そんな調子じゃ、朝の挨拶もろくにできてないんだろう?まずはそこからやってみよう」 パンッ!と両手を打って俺たちの口げんかを止めたまではいいが、棗先生…なんで朝の挨拶ができてないとか決めつけるんだ? 先生が大きな音立てるから、他のことに興味を示していた生徒たちが一斉にこっち見ちまったじゃねえか! と、内心目の前の悪ふざけをしすぎる大人を殴りたい気分を抑え、俺は朝の挨拶なら、今朝電車乗り合わせるときに交わしたことを告げる。 「はあ?挨拶なら普通にしましたよ。おはよって」 「何を言ってるんだ?夫婦の朝の挨拶といえば、おはようのキスだろう?どうせしてないんだろ?」 周囲が軽くどよめいたぞ。 俺は顔を真っ赤にしながら、同じように注目されているはずの輝二を見る。 しかし、輝二はしれっとした顔で棗先生に一言。 「妻は恥ずかしがりなんで」 「おい!誰がいつおまえの妻になったんだよ!!」 「たった今。棗先生が俺たちを夫婦として認めたときから」 周囲の男子が冷やかしはじめたところで、HRの時間を知らせるチャイムが鳴り響く。 「おっと時間切れか。じゃあ、朝のHRはじめるぞ〜」 先生の一声で俺たちの周りに集まっていた生徒たちが、ガタガタと自分の席へと戻っていく。 そこへさっきまで輝一のクラスに行ってたらしい泉が戻ってきたらしく、立ち尽くしたままの俺の肩を叩き、「何があったの?」だ。 「あのね〜。拓ちゃんと輝二くんが今日、夫婦になっちゃったの。棗先生が決めたんだって」 「あの先生、いつか訴えてやる!」 「あら、いいじゃない。いずれは本当の夫婦になるんでしょ?」 「おまえな…他人事だと思って」 のうのうと出席簿を読み上げていく棗先生。 俺は朝からもうエネルギー切れの予感です…
終わり 単純ににょ拓いぢめな内容になってしまったw 拓也さんが早く輝二さんとの仲を認めないと、この先も棗先生にいじられるトラップが発動した。 棗先生は恋の伝道師な気分でいるんだろう。 しかし、全てが現在失敗に終わっているようだ。 果たして先生のミッションは成功するのだろうか? そんな棗恭介自身が決めたミッションが陰に潜んでるなんて、2人は知りもしないのさ |