ミニフロ〜その16

桃シューの話で二拓♀。

いつのまにかウチの拓ちゃん、桃好きになってたもんで…。

視点は拓ちゃんです。

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桃と拓也の微妙な方程式

「うにゃあ〜幸せだあw」

「拓也、あなた猫言葉になってるわよ。まだ治らないの?猫だったときの後遺症(らしきもの)」

「ん〜…なんかなあ。あれ以来、時々でちゃうんだよなあ。まっこれくらいで輝二はひかなくなったからいいにはいいんだけど…」

そう言いつつ、隣へと視線を向ければ輝二が慌てて俺から視線を外す。

どうせくだらないフィルターとかかけて、見てたんだろうな〜とか思う瞬間。

まあ、いつものことだしと、軽く呆れ顔で見つめた後、再び限定桃シュークリームをおすそ分けしてくれた泉へと振り返る。

「これってさ、たしか学校の近くにあるお店で出してる期間限定のヤツだろ?以前見たことあるもん。すっげえ、行列してたの。おまえ、よく並んだよなあ」

「まあねぇ〜。拓也はそういうの苦手っぽそうだから、夢と由宇と3人で昨日、行ってきたのよ。学校の帰りにね。でも、際どかったなあ〜…かなりの数は作ってはあるみたいだけど、私たちが4つ買った頃には残り2つ3つで終わりです〜だもの」

「ん〜…また食べたい味だよなあ。でも、並ぶのかあ」

「しかも、並んだところで必ずや手に入るかはわからないしねぇ。しかも、今日までだって言うから、相当並ぶでしょうね。いつもの倍くらい?」

「ん〜…でも、食いたい」

あまりの美味さにすっかり桃シューの虜になってしまった俺。

悩みに悩んだ挙句、俺はその日の放課後。おもいきって買いに行くことにしたのだが---。

「うええ〜!何で!何で今日なんだよ!先生〜!!」

「何でって言われてもなあ。おまえの補習授業、できるの今日くらいしかないからってとこか?」

「そんなあ〜…」

HRも終わり、真っ直ぐお店に行きたいところだったのだが、運が悪いとはこのことを言うのか?

担任の棗先生に呼び止められ、俺は先生の立つ教卓へと行く。

そして告げられたのが、補習授業の話。

いつか先生の手が空いたときに…とは言われていたが、よりによって今日とは---。

ガックリと肩を落とし、先生と一緒に他のクラスの生徒たちが待つという空き教室へと歩き出す俺。

ようなら。俺の桃シュー。

コイツ、今日までらしいからな。

残念だ…せめてもう一口食べたかったなあ。

補習を受けながらも、頭の中はあの甘酸っぱい桃の味と香りでいっぱいだったため、頭にはろくに入らなかった。

補習は30分ほどで終わり、俺は真っ先に一縷の望みをかけて駅前商店街沿いにあるお店へと向かって走っていた。

行列はまだあった。

ってことはまだ売ってるってことだよな?

そう思って最後尾につこうとしたときだった。

「申し訳ございませ〜ん!限定桃シュークリームご希望のお客様。ただいま、最後の1つが終了致しました」

「え…終わり〜?」

俺の絶望の一声と同時に、並んでいた客もサーッと店の軒下から離れていく。

ざわざわと聞こえていた話し声も次第に遠のき、俺もまた悔し涙を呑みながら渋々と帰路へ着くため、駅へと歩いていく。

「あ…拓也。やっぱり来てたのか」

「え?輝二??」

店から数歩離れた辺りで、ポンッと肩を叩かれ振り返ればそこには先に帰ったはずの輝二が立っていた。

しかも手にはあのお店の物と思われるロゴ入りの箱が握られているではないか!

「とりあえず1個は買えたぞ。今日で最後だったんだろ?桃シュー」

スッと目の前に掲げられた箱は俺のために買ってくれたという桃シューが入ってるらしい。

「近くに公園あっただろ。そこで食ってけよ。電車もこれからの時間だと混み合うだろうから、もみくちゃにされそうだしな」

「ん…ありがと。でも…輝二?なぜ」

行列とかコイツだって苦手だったはずなのに。

ましてやあそこの客層。並んでいる人見ても分かるくらい、若い女性中心なわけだ。

そんな中、1人でずっとこれ1個買うために並んでくれてたんだよな。

「だってさ。拓也のあの幸せそうな顔、もう一度見たかったからな」

たったそれだけの理由で?

おもわず目頭が熱くなるのを感じて、手の甲で拭っていた。

「泣くほど嬉しかったのか?おまえ、本当に桃好きだよな?」

「そんなんじゃねえよ。俺はただ…おまえの気遣いが嬉しくて」

2人で並んでベンチに腰掛けて、俺は輝二から受け取った箱をそっと開ける。

たった1つの桃シューは昨日、泉がくれたのと全く同じなのになぜだろう。

物凄く食べるのが惜しく感じられた。

「どうした?食わないのか?」

「いや…せっかくだから、半分こしようかなってさ」

「俺はいい。おまえのために買ったんだから、おまえが食え」

「でも…最後だぞ。明日からはもう食えないんだぞ」

「いいんだ。俺はおまえがそれ食って笑ってくれるだけでいっぱいになれるから」

優しく微笑み、俺の頬を撫でてくれる輝二に俺はまた涙がでそうになって、慌てて涙を堪えると感謝を込めて「いただきます」と呟いた。

「どうぞ。召し上がれ」

「うにゃあ〜甘くておいしい〜w」

「また出たな。拓にゃが」

「うっ///うるせぇ」

「ほら、ほっぺにクリーム」

「ひあっ///」

そっと輝二の手が伸びてきて、顎に手をかけられたと思うと同時に、頬をぺろりと舌で舐め上げられて、俺はビクッと肩を震わせてしまう。

「バッ!恥ずかしいだろが!!」

「だったらクリームが顔につかないように上品に食べるんだな」

悪戯っぽい笑みを浮かべてから、輝二は俺の頭を優しく撫でてきた。

「うにゅ〜」

「今日は拓にゃデーか?これで2度目だぞ。にゃんこ言葉でたの」

「だっだってさ、気持ちいいんだもん。頭撫でられんの。それよかさ、どうだ?美味かっただろ?」

「なにが?」

「なにがって…クリーム。一口でも舐めたんだからさぁ」

「一口じゃ味は分からないな。さすがに」

「…じゃっじゃあ…これならどうだ?」

「え?」

たった今、食べ終えたばかりで、口の中にはまだ微かにだけど桃の味と香りが広がっているはず。

俺は誰も周りにいないのを確認してから、輝二の唇へと自らの唇を寄せていた。

「ん…」

自分からこんなに大胆なことしたことなんてなかったけど、今日は特別。

輝二にもこの甘い感じ、気持ちだけでも味わって欲しかったから---。

だから…甘い余韻だけでもあげる。

2人で分け合えるだけ。

-end-

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久々に甘いぜ!二拓♀。

桃シューだから甘いのか?

妄想時点では最初に拓ちゃんが自分で買ってきたんだけど、帰りの電車でシュークリームが箱の中でぐちゃってて、輝二さんの手が汚れちゃかわいそうだと食べさせてあげたら、手まで食われたという前座あっての、このお返し展開だったんですが省きました。

一拓♀はどうしてもギャグノリですが、二拓♀は本命なのでこんな甘い展開もあるw