ミニフロ〜その15

ラビットマンのマスコット話。

女の子だけがでてくる珍しい話。視点は泉さんです。

それでは短く済みますようにw(カプ指定はないです)

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

ずっと友達

「なんかさあ、お姉ちゃんの話とか聞いてるとね、時々不安になるんだよねえ」

ふと夢が呟いた言葉に、私たち3人の手が同時に止まる。

今は家庭科の調理実習の時間。

私と拓也、夢と由宇は同じグループで、先生が出した課題の創作スイーツを作ってるところだった。

「何が不安になるんだよ?」

拓也が大好きな桃缶の桃を1つ、つまみ食いしながら、夢へと問いかける。

夢はその言葉にいつになく真剣な面持ちで生クリームがついた泡立て器片手に、静かに呟いた。

「ん…いつかはみんなバラバラなんだなって思うとさ」

「そりゃあ、まあ…卒業すらそれぞれが目指す道行くわけだしさ。でも、会おうと思えば会えるぞ。俺と泉だってさ、元々通ってる学校違かったんだぜ。でも、こうしてずっと友達してるわけだしさ」

「分かってるけど…でも---結婚しちゃって子供産まれたらさ、変わると思うんだ。何もかも」

夢の言葉に拓也の顔が一気に真っ赤に染まる。

普段ならこの状況。真っ先に夢が気づいてからかうとこなのに、今日の夢は下を向いたまま「やだなあ。そんなの」と本気で落ち込んでる風に見えた。

「あたしのお姉ちゃんの高校時代の友達がね、今度結婚するんだって。そしたら遠くに行っちゃうらしくて…滅多に会えなくなるのが寂しいってお姉ちゃん言ってた。それ聞いたらさ、なんか辛くなってきちゃって。あたしね!由宇ちゃんはもちろんだけど、泉ちゃんも拓ちゃんもホントすごく大好きだよ!趣味とか全然噛みあわないのにさ、でも…すごく楽しいんだ!だから…」

「夢?」

「ばぁか。んなもん、心配無用だっての!おまえが会いに来れないってんならさ、俺たちが会いに行ってやる!最低でも年に1回は必ず顔見せてやるし、一緒に遊んでやるよ!それがその…結婚して、子供産まれてもな」

「拓ちゃん?」

顔は相変わらず真っ赤で、夢が涙目なのもちゃんと見てないけど、拓也はあの時と同じ言葉を今度は夢に向かって言ってくれた。

あの時…デジタルワールド帰還後に、拓也が「またみんなでいつか会おう」って言ったときに、輝二が「また引っ越すかも」みたいなこと、寂しげな顔で言った。

それに対して拓也が返した言葉。

--おまえが会いに来れないなら、俺がおまえに会いに行ってやる--

すぐに「俺が」じゃなくて「俺たちがだろ」って純平に笑って訂正されて、嬉しそうに笑い返した拓也の顔、今でも忘れてないよ。

自分だけじゃない。みんなも同じ気持ちだって知ったときの拓也、すごく幸せそうだったから---。

そして、今もそう…

きっとこの思いは言わなくても同じだって分かってたから、拓也は今度は最初から私たちも含めて、「会いに行く」って言ったんだよね?

「拓ちゃん、ありがとね」

「ん?…ったりまえだろ!友達…なんだからさ」

「拓也ったら、照れちゃって可愛いです」

「本当〜可愛いんだから」

「うっ///由宇も泉も余計なこと言うなっての!ほらっ!さっさと作っちまわないと、みんな仕上げに掛かってるぞ」

「あっうん!そうね。じゃあ、私たち4人の記念の共同作!完成させちゃいましょ!」

「はい!」

「うん!」

夢もいつもの元気を取り戻し、私たちは作業に戻った。

--そして翌日、拓也は私たちに素敵なプレゼントを持ってきてくれた。

「ほらっ!おまえたちに1個ずつな。泉はバイオレットで、夢がピンク、由宇はレモンで、俺が…」

私たちにラビットマンシリーズのキーチェーンマスコットを1つずつ渡しながら、拓也は最後に自分の通学用バッグをドンと机に置いてみせた。

「レッドマントのラビットマンな。これでお揃いだろ?正直…つけるのちょっと抵抗あったけどな」

最後の言葉は恥ずかしそうにぼそぼそと呟きながらも、拓也は友樹から聞いたラビットマン誕生エピソードを口にした。

どうやら、これを選んだのにはそれなりに意味があったらしい。

「コイツさ、友樹が俺と泉に最初にくれたヤツのシリーズもんなんだけどな。コイツ、全員仲間なんだってさ。ほら、戦隊ヒーローみたいなもん?んで、コイツらは1匹1匹は大したことないよわっちいウサギなんだけど、全員揃うと物凄く強くなって悪者倒すんだぜ。だから…その」

「私たちも同じって言いたいんでしょ?」

上手い言葉が見つからないと言った様子で、黙り込む拓也の言葉を継いで私がまとめれば、拓也は大きく首を縦に振ってみせる。

「そうそう!だからさ、つまりは俺たちも寂しくなったら、いつでも頼っていいんだからな?いつだってコイツらみたいに真っ先に駆けつけてやっから!どんなに遠くに離れていてもな」

「拓ちゃん…うん!ありがとう!!」

そっと頭を撫でてやれば、夢は嬉しそうに拓也へと抱きつき、ポロポロと涙を流す。

「ずっと…ずっとこれ大切にする!彼氏できても、子供できても…おばあちゃんになっても…拓ちゃんたちとずっと友達だってこと忘れないから!だから…これからもみんなあたしの親友だよ!」

夢はそう言って私と由宇へと振り返り、笑顔を見せる。

そして私たちはそれぞれ鞄や携帯など、一番目につく場所に拓也からもらったマスコットを括りつけた。

「あれ?拓ちゃん。もう1つ同じ包みあるけど…それって」

拓也の手の中に私たちにくれたのと同じ包みを見つけて、夢がチラリと輝二の方を見つめるも拓也はニヤリと笑い、「残念!違うんだなあ」と一言。

「んじゃっ!俺、これもう1人の泣き虫お嬢様に届けてくっからさ!」

そう言って教室を飛び出していった。

「もう1人の泣き虫お嬢様って…」

後日---。

拓也にべったり抱きつく恭花ちゃんの鞄にそれを見つけた。

オレンジマントのラビットマン。

なんやかんや言いながらも、後輩にも優しい拓也らしさってとこかな?

自腹ご苦労様ですw

-end-

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

ラビットマンマスコット…1匹。750円なり。

本当は夢に言った台詞。輝二さんに対して言ってるお話書きたかったんですが〜…過去、振り返り語りで終わった。