溺愛されカノ?(雪天♀)

※今回は雪村転校後の朝の登校時の話。
(転校話はそのうち書きます。雪天♀蘭の目玉SSとなると思うので、じっくりと)
ふと思いついた内容なので、短いです。

※ ※ ※

「おい…」
「ん?なあに?」

これは雷門へ転校して、天馬と朝一緒に登校するようになってすぐのことだ。

「おまえ、厚着しすぎだろ」
「ええっ!そんなことないよ!これくらいがちょうどいいもん!むしろ、雪村や吹雪さんの方がおかしいんじゃない?ジャケットやマフラーだけでOKって」
「いや、北海道とこっち比べたら全然寒さ感じないし」
「そっかぁ…雪村は北国で14年間育ってきたんだもんね。13年間、沖縄にいた俺とは違うからなぁ。うん、納得」
「そういう問題じゃないだろ!おまえのはどう考えても度を超えた寒がりだっての!まるで雪だるまが歩いてるみたいだぞ」
「むぅ〜雪だるまはひどくないかぁ。あー寒いさむい〜。雪村〜寒いよぉ。くっついていい?」
「んなっ?!アッアンタなぁ…//」
「まっ冗談だけど」

可愛く小首を傾げて、時々コイツは普段のじゃじゃ馬とは対照的な愛らしさで甘えてくるんだから、本当読めない。
俺が頭から足下までボテボテの格好で歩く天馬の一挙手一投足にドギマギしつつも、せっかくコイツから甘えてきたんだしと思って、そっと彼女の手袋で覆われた手を握ろうとした時だった。
アイツが俺たちの間に割り込んできたのは---。

「てーんまっ!おっはよう!」
「うきゃっ!わわっ!きっ霧野先輩、それにキャプテンもおはようございます」
「おはよう天馬。それと雪村も」
「ああ、おはよう神童。それと霧野。早速で悪いんだけど、今すぐ天馬から離れろ」
「ヤダね」
「アンタなあ!!いい加減、俺と天馬が付き合ってること認めろっての!アンタくらいだかんな!未だに天馬にしつこくつきまとってるの!」

俺が天馬の背中にべったりと張りつく霧野を無理矢理引き剥がし、天馬を自分の背中に隠せば、天馬も遠慮がちにだが霧野から離れ、俺の手を握ってきた。
その光景を改めて目の当たりにさせられ、さすがの霧野もちょっとは衝撃を受けたのか、イラッとした表情をちらと見せながら、ポケットに両手を突っ込んで、神童と仕方なしに先を歩き出す。

「じゃあ、天馬。俺ら、先行ってるわ。また後でな」
「あっはい!分かりました。それではサッカー棟で!」
「おまえらも遅刻しないようにな」

俺が心の中で「勝ったぞ」と喜びを噛み締めていると、霧野が転んでもただでは起きないと言った感じで、不敵な笑みを1つ浮かべ天馬を振り返ると、俺に聞こえるようにわざと大きな声で、とんでもない事実を口にした。

「あっそうそう。天馬〜。その耳あて似合ってるぞ。ちゃぁんと俺がクリスマスプレゼントにやったの大事にしてくれてるんだなぁ。嬉しいよ。それと、狩屋がやったニット帽も、神童がやった手袋も、剣城がやったマフラーも大事に使ってるみたいだし、本当。おまえはいいマネージャーだよなぁ。選手の真心を無碍にしない」

--最後に「だけど、肝心の恋人からは何も冬の装備貰ってないのが可愛そうだ」と皮肉るおまけまで言い残し、霧野は天馬と俺を置いてさっさと学校へと向かって歩いていくのであった。

「…なあ」
「ん?」
「おまえ、めちゃくちゃ雷門部員に溺愛されてるんだな」
「あっ…うーん。なのかな?俺が思うに、みんなただ端に俺が寒がりなのを知ってての気遣いをしてくれただけだと思うよ」
「…俺はそうは思わないけどな」

俺がここへ転校する覚悟を決めて本当に良かった。
まさかここまで天馬がアイツらに溺愛されてたなんて予想もしてなかったし、天馬も天馬でアイツらからのアプローチに気づきもせず、無防備に受け入れてたなんてさ。
正直、それすら知らずにいたたことが彼氏としてどうかと、さすがに反省するのであった。

-end-