だめダメな日のちHappy day(拓天♀)
--今日は朝から最悪だ。
天馬はふとそう思い返しながら、窓の外を眺めていた。
「これじゃあ、気晴らしにサッカーの練習さえもできないじゃないか!」
腹いせに目の前の壁を蹴りつければ、蹴り方がまずかったのだろう。
おもいっきり、つま先を壁に打ちつけるというミスをおかし、天馬は痛みに小さな悲鳴をあげて、つま先を抱えて飛び跳ねた。
そして、そのままバランスを崩し転倒。
今度は背中を強く打つという失態。
さらには偶然、教室前を通りがかった剣城にその現場を見られただけでなく、転んだ角度悪く、パンツまで見られたのであった。
「ううー…最悪だ。トドメは剣城にパンツ見られた挙句に”ガキパン”とか言われてからかわれたしぃ〜」
とぼとぼと昇降口へと向かえば、前方に見覚えのある後ろ姿を見つけた。
「あっキャプテンだ//」
おもわず高鳴る胸の鼓動。
普段なら、元気よく声を掛けて「一緒に帰りませんか?」なんてさりげなく声を掛けるところだが、今日は朝からの最悪日和だ。
ここでまた、さっきみたいなドジ踏んだらやだなと思った天馬はそのまま、神童と微妙な距離を保ちながら下駄箱へと入るのであった。
(はあ〜あ。一緒に帰りたかったなあ。今日は珍しく霧野先輩と一緒じゃないようだったし、チャンスだったのになあ)
こそりと下駄箱の影から2年生の下駄箱の棚から神童が出たかどうかを確認する。
(良かった。俺がもたついている間に帰ったみたい)
そう思って、安心して一歩踏み出せばすぐ外で神童と鉢合わせる。
「うわっキャッキャプテン!帰ったんじゃないんですか?」
「いや、おまえが俺の後から来るの見えたから、どうせなら一緒に帰ろうかと思ってな」
--途中までだけど。
ほんのりと頬を染めながら、神童はそう言うと天馬に照れ顔を見られるのが嫌なのか、速やかに傘を開くとその影に顔を隠してしまう。
「ほら、帰るぞ」
「あっはい!」
予想外とはいえ、一緒に帰れる展開にやっぱり嬉しい天馬はいそいそと自身の傘を開く。
が…
「うっ…あれ?嘘っひらか…ない?えーっ?!こっ壊れちゃった?」
傘の骨が折れてるのか、いつもならワンタッチで開くはずの傘が開かない。
(なんでだよぉ〜…俺、今日どんだけついてないんだよ)
おもわずため息をつく。
そこへスッと落ちる影。
見上げれば、神童が自身の傘を遠慮がちに天馬へと差し出してできた影だということに気づく。
「あっキャプ…テン?」
「いれていってやる。ついでだから家まで送ってくよ」
「え?でも…そしたらキャプテン遠回り…」
「いいんだ。たまには少しくらい2人きりの時間を俺にくれたっていいだろ?」
「ふえっ//あっはい!よっ喜んで!!」
そっと遠慮がちに神童の差し出した傘の下に入り込み、天馬と神童は並んで雨の中を歩き出す。
互いにちょっとでも肩と肩が触れ合っただけで、びくりとしつつの大緊張の中の相合傘。
だが、天馬はそんな中で小さな幸せを感じるのであった。
(ずっと悪いことばっかじゃないよね?たまにはいいこともこうしてあるんだもん)
そっと隣に感じる優しいぬくもりにときめきながら、天馬はフッと幸せな笑みをこぼすのであった。
-end-
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