もこもこ雪だるまちゃん(蘭天♀+ファースト)

12月に入り、一気にグッと寒くなってきた今日この頃。
俺の彼女の寒がりさんは、ここにきてだいぶその厳しさを実感しているようだ。

「ちょっと!天馬!!離れてよ!仕事できないじゃない!」
「だって寒いんだもん〜」
「だからって!ぴったりと張りつかれてたら私も困るの!」

今日も天馬は、早朝練習にはちゃんとマネージャーとして参加してはいたが、とくにすることもないときは基本マネージャー陣はベンチで監督と選手の練習を見ているだけとなってしまう。
当然、動かなければ寒い。
俺が空野の天馬へのお小言に反応し、ふと足を止めベンチを見れば、やっぱりかといった感じで、天馬が空野を風除けにして、しっかりと彼女の背中にしがみついているのが僅かながらに見えた。
さらによくよく見ていれば、空野がおかんむりなのを理由に、こっそりと空いてる手でさりげに山菜の方へと移動。しっかりと身を隠してかくれんぼかよ。

おもわず、呆れて白い息を吐けば、やはり隣にいた神童も同じ気持ちだったのだろうか。
俺よりも先に、ベンチへと歩いていくと、山菜の背中にぴったりと張りついたままの天馬を引き剥がそうと躍起になる空野を手伝いにとりかかっていた。

「ほら、天馬。寒いのは分かるが、これじゃ空野さんたちが困るだろう。どうしても外にいるのが辛いなら、もう今日は戻れ」
「うー…それは嫌です」
「だったら、もっとシャキッとしなさい!あなた、ただでさえ私たちの倍、着こんでるんだから!」
「なんだったら、おまえも神童たちと一緒になって走って来いよ!サッカーしたくて仕方ないんだろ?どうせ」
「あっ!それいいかもしれませんね!」
瀬戸の提案に、ようやく山菜から離れ、立ち上がる天馬。
だが、すぐに北風に曝され、空野の影へと身を隠した。

「うーやっぱり、寒いです〜。今日はやめときます」
「なあ?もしかして、おまえ風邪でも引いてるんじゃないか?」
「「え?」」

ふといつもの天馬にしては、少し様子がおかしいと思った俺は、神童たちの間に割って入って、天馬のおでこへと手を当ててみる。

「熱はないみたいだけど、顔色が悪いな」
「そういえば、今日はいつもより背中がぞくぞくして寒かったです。それに、ちょっと頭痛いです」
「風邪の引きはじめのようだな」

神童がそういって俺を見れば、俺もまた小さく頷き、ベンチに投げ出してあった自分のジャージの上を引っ張り出すと、それを天馬の肩へと羽織らせてやる。

「もう少しで練習終わるから、どうしてもいたいんなら、これ羽織っておけ。後で保健室連れてってやるからな」
「はい。ありがとうございます//」
「じゃあ、俺のも使っておけ」
「ふえ?キャプテン?」
「じゃあ、僕のも使ってよ」
「信助?」
「バカは風邪引かねぇって聞いてたんだけどな。ほらっ」
「ふぎゃっ!剣城ぃ〜前見えないっ」
「はい、天馬さん。早く良くなってね」
「うん…ありがと狩屋。でも…なんか暑くなってきた」

天馬がそういうのも無理はない。
なにせ、天馬を心配する奴らがこぞってここぞとばかりに天馬にいいとこ見せようとして、厚着させるもんだから、天馬は今や雪だるま状態。
頭から膝の上までしっかりと雷門のジャージで覆われた天馬は、顔がかろうじて見えるくらいにまで完全防御となってしまったのだから---。

「せっかくだから、記念に写真撮ってあげるね〜」
「え〜?」
「じゃっ山菜先輩。私も一緒に!」
「よしっ!あたしもだ!」
「ちょっと待て!そういうのは恋人である俺の特権だろ!」
「あのぉ〜//俺、寒いの通り越してゆでだこになりそうです〜」

女子マネージャーたちにまで、おしくらまんじゅうにされる中、俺はしっかりと後で、山菜にこの雪だるまな彼女との貴重なツーショットを撮って貰うのであった。

-end-