それは必然の出会いだから(聖←天♀+円)
読まれる前に〜
このシナリオでは天馬♀と円堂が同じ木枯らし荘に住んでる設定になってます。
ちなみに円堂は未婚。
円天♀の要素も含みつつ、聖天♀でもありつつ、聖vs円っぽいような流れもあるよな…
そんな話です。
初聖天♀…かなり過去捏造!(まあにょた天だしいいよなってことで!)
いろいろと許せる人のみ本文へどうぞ!
※ ※ ※
--それは俺が雷門中へ転校してきて間もない頃のことだった。
俺は彼と一度会っていたことを思い出す。
『俺…あなたに昔、会ったことがあるような気がするんです』
俺がそういえば、あの人は柔らかな笑みをたたえ、こう答えた。
『私もキミを前から知ってたような気がするよ』
『なんか…運命を感じます』
ギュッと2人を結び合わせたサッカーボールを抱きしめ頬を染めて呟けば、彼はなぜか首を横にそっと振った。
『いや、むしろそれは必然の出会いだったんだよ。天馬』
『えっ?』
『いつか分かるよ。私の言った意味が…いつか、その日が来たらまた会おう』
『あっあの!なっ名前!!』
そっと頬を撫でられ、ビクッとなって顔を上げれば、その人はいつのまにか俺から離れて元来た道へと戻っていくところだった。
慌てて、後を追い名前を聞こうとしたが、俺の声は彼には届かず、彼はそのまま姿を消し去ってしまったのだった。
「はあ〜あ。もしかしたら、あの人が俺の初恋の人かと思ったんだけどなぁ」
俺は木枯らし荘の屋根の上に1人、稲妻マークの書かれたボールを抱えて、ぼんやりと夜空に浮かぶ星を眺めていた。
このボールは俺とサスケの命を救ってくれたサッカーボールであり、俺にサッカーをはじめるきっかけを与えてくれたもの。
そして、あの人と俺を結びつける唯一の宝物。
「似てたんだ…彼を包み込む風。同じだった。あの人と同じ優しい風…吹いてた」
あの時はまだ幼くて、これが初恋だなんて思いもしなかった。
ただ、ただ…もう一度、あの人に会いたい一心で、この稲妻マークが校章だという雷門中へ行きたかった。
でも、親がなかなか俺の本州へでの1人暮らしを許してくれなくて、最終的に渋々だが許可が下りたのは夏の終わり、俺の思いに応えてくれ、協力してくれた秋姉のおかげだった。
「…聖帝。イシド…シュウジ」
ぼそりと、今日知った2つの言葉を上げてみる。
それは、あの時俺が彼に聞きたかった彼の名前であり、彼の中学サッカー界で知られている通り名で---。
「今、雷門が戦っている相手が彼を中心とする組織だったなんて…。なんで?あんなに優しい風を纏っていた人だったのに、なんで…彼らから自由なサッカーを奪おうとしてるの?」
震える声で、小さく呟けば返って来るはずのない返事が、俺の足下から響いてきた。
「それは、アイツにしか分からないことさ。残念だが…」
「円堂…監督?」
「よっ!ちょっといいか?」
そう言って、円堂監督は梯子を伝って俺の隣へと上がってきた。
「秋が心配してたぞ。天馬が元気ないってさ」
隣に腰掛け、監督はそっと俺の冷えた体に温かい上着をかけてくれる。
「ごめんなさい…でも、俺。どうしても、今日知ってしまった事実が受け入れられなくて」
「今日知った事実?」
「はい。あの聖帝…イシドシュウジって人、たぶん俺の感覚に間違いがなければ、あの人はきっと10年前に俺とサスケの命をこのサッカーボールで救ってくれた人なんです!」
ホーリーロードの開会式の会場で、モニターに映し出されたあの人を見た時、俺はおもわず息を飲んでしまった。
まさか…と思った。
念願の雷門中へ転校してきて、サッカー部員とまではいかなかったが、マネージャーとして一緒に、雷門イレブンが立ち向かっている管理サッカーという壁と戦おうと決意を固めた矢先に、彼に…”必然の出会い”とまで言われた彼にこんな形で3度目の再会を果たそうとは---思ってもみなかったのだ。
誰も知らない俺と聖帝の繋がり。
誰にも言えない俺の小さな恋心。
誰も分からない彼があの日の幼い俺とサスケを救った命の恩人かどうかなんて---。
でも…
俺は信じたい。
彼があの日の少年だということを---。
だからこそ、疑いたい。
彼が聖帝である真実を…
ギュッと両手で強く強く自身の思いを確かめるように、サッカーボールを胸に抱く。
そっと円堂監督の手が俺の肩を優しく包み込んできた。
「ああ。たぶん、おまえの勘はあたっていると思う。俺も…アイツが、聖帝だとは思いたくないからな」
「監督?」
「でも、今目の前に映るあの姿が、アイツのとっている行動こそが真実であるのも代わりはない」
グッと俺の肩を抱く監督の腕に力がこもる。
痛いくらいに---。
俺はおもわず眉根を寄せて、苦痛に顔を歪めてしまっていたようだ。
フッと肩にかかっていた力が抜け、監督が「すまない」と言って、優しく撫で擦ってくれた。
「いえ。それより、監督もイシドさんをご存知なんですか?」
ふと思い浮かんだ疑問を口にして、隣に座る彼を見上げれば、彼もまた夜空の星をジッと見上げながら、小さな声で「ああ」と短く返した。
「大切な仲間だ。俺は今でもアイツの本当の心を信じてる。だからこそ、俺は今、おまえたちとできる最善のことをするつもりだ」
--つまりは。
『フィフスセクターと戦い続け、勝ち続けること』
そう言って、監督はニカッと俺へと満面の笑みを浮かべてみせてくれた。
「たぶん、おまえがここ雷門へ転校してきたのも、アイツとすでに出会っていたのも、きっとサッカーの神様が引き合わせた必然の出会いってヤツなのかもしれないな」
「え…」
フッと漏らされたその言葉に俺は、おもわず目を丸くしていた。
(あの人と同じ言葉だ)
「だから、俺はおまえがいつか、俺の大切な仲間の本当の心を取り戻す、一番重要な働きをしてくれるキーのような気がしてならないんだ」
「俺が…あの人を…取り戻す鍵」
「ああ。だから…元気だせ!おまえの笑顔はさ、俺や秋だけじゃない。雷門中サッカー部全員の底力をあげる最大のタクティクスなんだからな」
「監督…俺っ」
「ん?」
グッと抱きしめていたサッカーボールを天高くかざして、力強くそれを両手で握り締める。
月明かりを浴びて、稲妻マークがきらきらと光っていた。
「俺っ!本当は聖帝から…あの人から逃げそうになってたんです。信じられなくて…現実から目を背けそうになっていた。でも…俺も、監督と同じ気持ちだから!戦います!!あの人と…フィフスセクターと!本当のあの人を取り戻すために!!」
--そして、彼が戻ってきたらちゃんと伝えよう。
二度目の再会で気づいた。
自身の淡い恋心を…ちゃんと。
さっきまでのもやもやはどこへやら…
俺はボールを小脇に抱えると、いても立ってもいられなくなって、そのまま梯子をするりと滑り降りると、監督が止めるのも聞かずに部屋を飛び出し、河川敷へとボールを抱えて駆けていくのであった。
--もう、迷わない。
立ち止まらない。
俺はいつか、本当のあなたを取り戻してみせます。
俺たちの本当のサッカーで!!
-end-
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