あなたのことが気になりだしたのは、小6の春。

私が叶わぬ恋に 自らさよならをした日のこと覚えてるかな?

あなたは私にとても優しくしてくれたよね?

元気のない私の傍に さりげなくいてくれて

私が落ち込んでいる理由も聞かずに

ただ寄り添い そっと心の傷を癒してくれたわ

いつの日からか 私はあなたのことを想わない日がないくらいに あなたのこと想ってた

滅多に会えない人だから なおさら気になっちゃうの

だってあなたはとても素敵な人だから

ねえ?

あなたは あの日 私が精一杯だした勇気に どう答えてくれますか?

 

真っ白な心をキミ色に染めて

 

それは今にも雨が降りそうな日の放課後のこと。

私は日直の仕事を終え、雨が降る前にと急いで帰ろうと鞄に荷物をつめこんでいるときだった。

先に帰ったはずのクラスメイトの女の子が3人。

キャアキャア盛り上がりながら、私の席の前へと駆け寄ってきた。

「ねえねえ、織本さん」

「なあに?」

「織本さんに素敵な彼氏が面会希望だってさ」

「素敵な彼氏??また、どっかのクラスの男子にでも頼まれたのね?悪いけど、私」

「違うのよ。その男子はね」

そういって彼女が窓際まで駆け寄って、私のことを手招きしている。

私は帰り支度をする手をとめて、呼ばれるままに窓際へと向かった。

「どう見たってウチの学校にはいないイケメンくんでしょ?」

「その彼が6年の織本泉さんっていませんか〜?って」

「なあになあに?どこで知り合っちゃったの?」

校門の辺りに見慣れた人影が校舎の方を見上げている。

その顔を目視した瞬間、私の胸はドキン!と大きく跳ね上がった。

「え?あれ…もしかして輝一くん?」

「へえ、彼”こういち”くんっていうんだあ。どこに住んでるの?」

「ねえ!織本さんってば!!」

「ごめんなさい!その話はまた今度ね。私、ちょっと行ってくる!!」

私は彼女らの詮索に付き合っている余裕もないままに、慌てて席に戻り、鞄を引っつかむと教室を飛び出していた。

目の前の階段を2段飛ばしで駆け下りて、下駄箱で上履きを靴と履きかえる。

ほとんどつま先だけを引っ掛けたままの状態で、私は校門の前に佇む輝一くんめがけて駆けて行った。

「あっあの!」

「あ…泉。良かった。まだ帰ってなくて」

「うっうん!私、今日ちょうど日直でって!キャッ!」

もう少しで輝一くんの前というところで、靴が片方脱げ、私は前のめりに躓いてしまった。

「おっと!大丈夫?泉」

「…うっうん。あっありがと」

次の瞬間、私は輝一くんの胸の中にすっぽりと納まっていた。

しっかりと私の腕を掴んだ状態のまま、輝一くんは私に怪我がないことを確認してから、暖かな笑みをくれた。

体全体が熱くなっていくのを感じる。

私は、恥ずかしさのあまり、逃げるように輝一くんの腕から抜け出していた。

「あっごめん。変なとこ触っちゃった?」

「えっ?ううん!そんなこと全然ないよ!」

「でも…泉、なんか顔赤い」

「っ!!////なっなんでもないの!気のせいよ!」

反射的に自分の両頬を押さえ、私は輝一くんに背を向け、恥ずかしさのあまり、おもわず視線をはずしてしまう。

「ならいいんだけど。って!あっ…どうしよう。落としちゃった」

輝一くんが何かを落としたらしい。

私は俯いたままの姿勢で、輝一くんへと振り向いたので、輝一くんが落としたものが何かがすぐに分かった。

綺麗にラッピングされた袋の口が開いて、中から紫色のカチューシャがチラリと覗いているのが見えた。

「とめ方が悪かったのかな?中が出てきちゃった。ダメにしちゃったかな?」

そっとそれを拾い上げ、表面についた土を払っていく。

「ごめんね。泉。せっかくキミにプレゼントしようと思ってたんだけど、俺の不注意で落としちゃったみたいだ。一度でも地面に落としたものなんて、もう渡せないし…」

「そっそんなこと気にしない!」

「え?あっ…泉」

さっきまでのおどおどした私は一体どこへいったんだろう?

自分でもびっくりするくらい、勢いよく輝一くんの手の中に握られていたカチューシャを輝一くんごと、自分の元へと引き寄せていた。

「……ごっごめんなさい私…こんなつもりじゃ」

気がつけば、私と輝一くんの距離はほとんどゼロに近い位置で向き合っていて---。

もう少し、顔を近づけたら、きっと唇が触れ合う。

そう考えてしまった瞬間、再び私の胸はバクバクと激しく鼓動しだした。

いったん、引いたはずの熱もまた上がっていく。

それもさっきよりもずっと激しく。まるで燃え上がる炎の中に飛び込んだ気分だ。

ボッボッと顔から火を吹きそうな勢いで蒸気していく。

輝一くんが至近距離で私のこと、驚いた風に見つめている間が、何時間も続いているような錯覚さえ感じた。

短い沈黙の後、先に口を開いたのは輝一くんだった。

「受け取ってくれるの?汚れてるかもしれないし、傷つけちゃったかもしれないんだよ」

「気にしないわ。だって…これは輝一くんが私のために選んで買ってきてくれたプレゼントなんだもの」

ギュッとカチューシャを握り締める手の上に、輝一くんの手がそっと重ねられる。

「ありがとう、泉。俺、泉のそういうとこ好きだよ」

「ふぁっ…あっ…う…うん。私も…輝一くんのこと…好きだから」

「…え?」

「あっ…////」

つられてつい言ってしまった。

もう心臓の鼓動は爆発寸前。

頭の中は真っ白で、次に私は輝一くんに何をされたのか意識するまで数秒の時を有した。

「両想いだったんだね。俺たち」

「…そう…なの?」

そっと背中に回された手と耳元に囁かれた『両想い』という言葉。

一瞬、息が止まるかと思った。

このまま私天国にいっちゃうんじゃないかってくらい、気持ちが飛んでいた。

抱きしめられた感触。

そのぬくもりが愛しい。

私は嬉しさのあまり、気がつけば泣いていた。

「泉?ごめん…俺、つい」

「いいの。私も本当はずっとこういうの憧れてたから」

そっと輝一くんの背中に手を回し返しながら、私は瞳にいっぱいの涙を浮かべ、素直な気持ちで想いを伝えた。

もう一度---。

「輝一くん、ありがとう。大好きだよ」

「俺もだよ。泉。大好きだ」

人の目なんて気にせず、まだちらほらと帰宅する同級生がいる中で、ハグする私と輝一くん。

でも、気にしないの。

だって明日が私の学校の卒業式。

どんなに今日のことで冷やかされても大丈夫。

明日、一日だけ我慢すればいいだけのことよ。

それに…

輝一くんは私にとって自慢の彼氏となる人なんだから!

 

 

ふんわりと舞い落ちる白い雪。

2人並んで歩く帰り道。

今日の予報では雨って聞いていたのに、不思議ね。

なんて話しながら、冷たく冷えた手と手を重ね合わせながら歩くの。

これから歩く道はこの雪のように真っ白な道。

それを2人でいろんな色に染めていくのもいいかもね。

私は…そうね。

輝一くんと同じ色に染まれたらいいかな?

 

 

-end-


あとがき--

一泉。チュウはもう少し先でいいや。な感じで。

ホワイトデーより前か後かは謎ということで。(文中で急遽、卒業式を前日に控えてしまったので)

輝一くんと泉は私の中では割と近いとこに住んでる感覚でいますので、泉が帰る前に捕まえられたとこ?

これで中学一緒ってのもいいかもなあ〜なんて思う。

輝二と拓也も案外、○○区で見ると近かったりして〜とか妄想してる。

でも、高校までは一緒に通わせないぜ!と思っていたりするので。

やっぱり一泉…ほわほわした感じで書けて好きだ!

二拓♀じゃこうはいかないよな〜ってw

2011.3.14