キミは優しい人

キミは可愛い人

そんなキミを好きな男はきっとたくさんいるだろう

少なくとも身近に1人 俺よりも前からキミに好意を抱いている友がいる

きっと俺の知らないところでも 他にもいるんだろうね

キミともっと親しくなりたいと想い焦がれている男が---

 

恋のイズミが湧き上がるトキ

 

「え?今から…あっいいけど」

『本当?ごめんね。急に呼び出しちゃったりして』

「あっいや、俺はいいけど、泉の方こそ大丈夫なの?今からだと親御さんが心配するだろ?」

『うん、大丈夫。ちょっと近くのコンビニまでって行って出てきたから』

「それ…って(いいのかな?)…で?今、どこにいるの?」

『ん?そうねえ。あっ今、ちょうど輝一くん家の近くの公園まで来たとこ』

「えっ?ちょっと待って!そっそこ動かないで!っていうか、明るいところで待ってて!!すぐ行くから」

『うん。待ってる』

「後、携帯切らないで。俺が行くまでそのままで」

『了解しましたw』

それは突然の電話だった。

いつものように一日が終わり、仕事で疲れて帰ってくるであろう母さんのために、夕飯の下準備をしていた時だった。

居間に置いてあった携帯が鳴り響いたのは---。

「あっ泉?」

受話器越しに聞こえる声は、俺が今密かに気になる少女・泉からだった。

彼女とのやりとりは今にはじまったわけではない。

デジタルワールドから帰還してからは、それなりにみんなとメールとかで頻繁にやりとりはあったし、今回の泉からの突然の電話も珍しいとは思えなかった。

とくに泉に関しては、彼女の優しい性格からだろう。

はじめて会話を交わしたあの日もそうだったけど、戻ってきてからもそれこそ頻繁に俺と輝二のことを心配してか、よく電話とかメールしてくれていたから。

でも、今日はちょっといつもと違かった。

 

「ごめん!すぐに出てきたんだけど…待った?」

「ううん。そんなことないよ。すごく早く来てくれたもの。ありがとう」

電話越しで聞いたのと同じ、いつもよりちょっと緊張気味の声をして、泉は胸に小さな包みをしっかりと抱いたまま、息せき切って駆けてきた俺に優しい笑みを浮かべてくれる。

ただでさえ、全速力で飛ばしてきて息があがっているのに、そんな笑顔を見せられたら、今にも心臓が爆発しそうだ。

おもわず胸の辺りを反射的に押さえてしまう。

「あっ輝一くん。大丈夫?ごめんね。心配…させちゃったみたいだね」

「あっいや。そんなことないよ。ただ、こんな時間に女の子1人で夜道を歩いてきたっていうから俺、心配で」

「輝一…くん」

本当に心配だったんだ。

キミはとても可愛い人。

純平がキミに一目ぼれしたのも今の俺ならよく分かるから。

だからこそ、キミがこんな時間にこんな寒空の中、親にも嘘をついてこんな遠くまで来てくれたことが嬉しい反面、心配でもあったんだ。

本当なら寒さに凍えた体を抱きしめて温めてあげたい。

でも、俺にはそんな権利なんてまだないから、ただキミの身を心配したり、元気な姿を見てホッとするだけしかできない。

泉は夜風にさらされた頬を真っ赤に染めて、ただ一心に俺を見つめていた。

「あの、本当にごめんなさい。私…輝一くんに心配かけさせるつもりなんてなかったの!ただ、どうしても…渡したかったから」

「渡す?」

「うん。これ…私から輝一くんに。受け取ってもらえるかな?」

「もしかしてこれのために、わざわざ?こんな時間に?」

泉から震える両手で差し出されたのは綺麗にラッピングされた包み。

中身を空けてみるとそこには透明のフィルムで包まれたショコラと手編みと思われるマフラーが入っていた。

おもわず自分の目を疑ってしまう。

そっと視線をあげ、泉を見つめれば泉はただでさえ真っ赤だった頬をさらに赤らめ、慌てて視線をはずし、小さな声でこう呟いた。

「私…料理とかは得意なんだけど、編み物なんてはじめてで…ほらっ誰かに何かを作ってあげるなんて今までなかったから!だから…へたくそでごめんね」

俺は泉が一所懸命編んでくれたであろうマフラーを取り出し、そっと首に巻いてみせる。

そしてあることに気づいた。

「泉…これ、すごく長い」

「え?うそ!!やだっ!!私ったらなんか夢中になって編んでて…ごめんなさい!すぐに直すから!直してからまた渡す!!」

そう言うが早いが、泉は俺の首からマフラーをもぎとろうと手を伸ばす。

それとほぼ同時に俺は彼女の首にマフラーの余った部分をそっと掛けていて---。

「え?あれ?輝一…くん?」

「泉、寒そうだったから。こうすれば長すぎないしちょうどいいよね?」

「うっうん!」

ボッと火がつきそうなくらい顔を真っ赤にする泉を見て、俺も思いつきでとっさに泉の努力を無駄にしたくないってだけでとった行動の大胆さにいまさら気づき、一気に体中に熱があがるのを感じた。

2人して1つの長いマフラーを巻いた状態で向き合い固まっている奇妙な光景。

お互いに一時的に次に交わす言葉すら忘れてしまったかのように、ただ静かに恥ずかしそうに見つめ合う。

「「あっあの!」」

同時に第一声を放って、また俯き黙り込む。

次に先に口を開いたのは泉の方だった。

「わっ私、そろそろ帰らなくちゃ…さすがにそろそろ気づかれてるかもしれないし」

「だったら、俺今から送るよ。その…チョコとマフラーのお礼を兼ねて。ちょっと待っててくれるかな?母さんに書き置きと、それと出かける支度してくるから」

「えっいいよ!大丈夫だから!!私、本当に1人で」

「もう1人で大丈夫なんて言わないでよ」

とっさに口をついて出た言葉。

泉はびっくりしたように俺を見上げ、そして小さく頷いてみせた。

「うん…分かった。でも、ここで待つの怖いから、輝一の家まで着いていっていい?」

「そうだね。俺もまた泉をここに残していくのはやっぱり心配だから」

「じゃあ、決まりね」

そっと泉が手を差し出す。

俺はその冷たくなった手をとって泉と一緒に家へと戻ることにした。

「輝一の手…あったかい」

「泉の手もすぐにあったかくなるよ」

だってキミはとても優しい、心の温かい人だからね。

言いたいことはいっぱいあったけど、今はやっぱりまだ言えなくて、ただ泉がこうして俺のためだけにここまで来てくれたことだけが嬉しくて。それだけで今は充分すぎて。

「ありがとう、泉」

(大好きだよ)

いつか言えたらいいな。

キミのその綺麗な瞳をしっかりと見つめて---。

 

-end-


あとがき--

初、デジフロ小説を一泉で書いてみた。ので、かなり無茶苦茶な感じがするのです!

なんか〜一兄が泉ちゃんに先に好意を抱いているように見せかけて、実は泉ちゃんの一兄の優しさに惹かれていたんだよ。みたいな感じでの両想いと持って行きたかったのに、なんか飛んでる気がするよ。

輝二よりは(っていうか輝二には拓也だから!)一兄の方が泉ちゃんとしっくりくるっていうか、可愛いカップルになってくれそうな気がして、私少数かもだけど一泉派でがんばるつもりです。

この先もこんな感じがいいw

二拓もバレンタインしたかったけど、にょた拓さんのシリーズができてないので…諦めたw

なんとなく男の子同士の恋愛ごとを書こうとするとギャグ寄りになるしね…。

もしかしたら、シリーズのみのにょた拓が読みきりにもでるんじゃね?なフラグが…(以下自重しろ)

2011.2.14